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SONY CDP-597の修理・レビュー

ソニーのCDプレイヤー、CDP-597の修理とレビューです。

行きつけのハードオフで税抜500円で入手。もちろんジャンクで、電源のみOKと書かれていました。
また、買い取り時に「電源のみOKで動作不能なので部品用だ」などと言われましたが、それを決めるのは買った人です。勝手に決めないでほしい。

筆者はCDを取り込んでPCから再生する環境のため、CDプレイヤーは不要なのですが、次の2つの理由で欲しいと思っていました。まず1つ目は、取り込んでいないCDを気軽に聴くためです。CDを取り込んでデータを整理するのは、存外に面倒なものです。そして次の理由は、オーディオ機器としてのCDプレイヤーの音を聴いたことがなかったためです。PC上でCDをリアルタイムで再生する場合と、取り込んでから再生する場合の音の違いを比べたことはありますが(勝負は後者の圧勝です)、単体CDプレイヤーの音は聴いたことがありませんでしたので、マニアとしてこれはいけないという思いがありました。

新品時の値段などを考慮するに、エントリーモデルのプレイヤーだと思いますが、必要以上なほどに多機能です。

※ 本記事で言及されるスペック等の情報については、オーディオの足跡様の当該ページに準じています。

修理

修理について記述しています。CDプレイヤーの修理は初めてですので、緊張が走ります。

状態の確認

まずは状態を確認します。これが買い取り当初の正面。

買い取り時の正面

黒い筐体のため、キズや汚れが目立ちます。

また、新品時から剥がされていないであろうステッカーがそのままです。90年代初期に発売したものに、いまさら”NEW”とは、なかなか面白いものです。

新品時にリモコンが付属するはずですが、付いていませんでした。ジャンク品はリモコンが無いことが多いのですが、リモコンって紛失するようなものなんでしょうか。

新聞の松岡修造さんが迫真の主張をしていますが、気にしないでください。本記事内の以後の画像にもよく写っています。

後面はこちら。

買い取り時の後面

ホコリとその他の汚れがひどい。特に出力のRCAジャックは、ニッケルメッキの例にもれず酸化しています。

カバーを取ると、このようになっていました。

カバーを取ったところ

メカ部が大胆に露出しており、ホコリが溜まっています。特に、データを読み取るレーザー関連の部分(ピックアップ?)のレンズが露骨にくもっており、このままでは読み取ることが不可能でしょう。

基板側は全く問題ないように見えます。液を吹き出したコンデンサや、焦げている部品はありません。

とりあえず、レンズを掃除すれば読み取ることはできそうです。全体を掃除するついでにレンズを掃除し、様子を見ます。

分解・レンズの掃除

分解していきます。

フロント部分は、下面のネジを何本か外し、引っかかっている爪を外せば、全体が外れます。メイン基板のフレキを外して、分解できます。
この際、CDを乗せるトレーの正面部品が引っかかるので、あらかじめ外しておく必要があります。この正面部品は爪で引っかかっているだけなので、トレーを引き出せば、上にスライドするように外せました。

メカ部は、3本のネジを外せば簡単に外れました。ここまでの様子が次の写真です。

分解途中

次はフロント部を分解していきます。

これは裏側です。基板が多くのネジで留まっていますが、めげずに全て外し、基板を取り外します。

フロント部 裏

基板が外れました。

フロント部 基板

メイン基板はタクトスイッチが大量です。まさにマイコン制御デバイスの賜物ですね。ディスプレイはVFDです。これは真空管の一種ですが、未だに日本メーカーの機器では使われていたりします。

写真右のボリューム基板にはもちろんボリュームが付いていますが、このボリューム、なぜかモーターで動くようになっています。リモコンで音量を操作すると、それに応じて自動で回転するタイプです。このボリュームは出力の大きさを変えるものですが、プリアンプ的に使うことが想定されていたのでしょうか。あまり必要な機能とは思えないのですが…

ともあれ、フロント部は分解したので、すみずみまで掃除しました。

次はメカ部です。

トレーを押さえている部品は爪で掛かっているだけなので、簡単に外せます。そしてトレー本体は乗っているだけなので、そのまま外せます。

目標のレンズを掃除しました。無水エタノールを綿棒に付け、拭いました。

トレー開閉機構のベルトが朽ちかけていたので、ちょうどよい輪ゴムに交換してみましたが、ダメでした。もう少し伸縮しづらいゴムでないといけないようです。結局、元のベルトに戻しました。

ここまでの様子がこれです。ただし、プーリーベルトを輪ゴムにした直後のものです。

メカ部 掃除後

このメカ、現代に安価で流通しているものより、機械的に凝った構造をしているようにも見えます。テープデッキの超簡易版みたいな感じ。

とりあえず、この状態で様子見します。一度組み立て直し、動作させてみます。

動作確認 その1

動作確認します。まず電源を投入すると、ごく普通にディスプレイが表示され、ある程度は正常に見えます。

そして、トレーの開閉ボタンを押すと、次のようになりました。

トレーの挙動

なんと、開ききったと同時に閉まってしまいます。なかなかコミカルな挙動です。このような予想外の笑いがあるので、ジャンクの修理はなかなかやめられないわけです。

また、何度かやっていると、勝手に開いたり閉じたりを繰り返す不審な挙動をすることもありました。

一応、閉じた状態は比較的安定しているので、この状態でCDを再生してみます。開いた状態で保持できないので、素早くCDを装着する必要があります。CDを入念に準備し、覚悟を決めて開閉ボタンを押し、開くと同時に、滑り込ませるようにディスクをトレーに乗せます。すると勝手に吸い込まれていき、自動的に読み込まれます。

再生してみると、あっけないほどに普通に音が出ました。やはり予想通り、レンズの汚れが原因で動作しなくなっていたのでしょう。

さすがにこのトレーの挙動は不便なので、さらに修理します。

メカ部の修理 本格篇

改めて取り外したメカ部がこれです。トレー開閉関係の部品は外してあります。青矢印のリミットスイッチの接触不良によって、トレー開閉時に誤作動していたようです。

リミットスイッチ周辺

その基板が次の写真です。モーターを留めているネジを外せば、基板も簡単に外れます。

モーターとリミットスイッチ基板

このリミットスイッチを外したものがこれです。外側の透明部品は、引っ張れば簡単に取れました。

リミットスイッチ 中身

接点部が黒々としており、見るからに正常動作は無理そうです。実際にテスターを用いて導通状態で測ったところ、50Ω程度の接点抵抗がありました。これではスイッチとして正常ではありません。

例のように、接点を磨きました。つまようじにピカールをつけて磨きます。これが効率的で最大の効果があります。

磨いた後のものがこちら。接点が銀色に復活しました。

リミットスイッチ 磨き後

接点抵抗はほぼ0Ωです。これなら誤作動はしないでしょう。

おおよその目的は達成しましたが、内部のホコリがひどく、グリスの劣化もあるでしょうから、ほとんど全て分解して洗浄・グリスアップします。

かなり奥地まで分解できましたが、ピックアップ部は余計なことをしない方がよさそうでしたので、ギア部以外はあまり触れないようにしました。

奥地の分解図

歯車類は全て取り外し、入念に洗浄しました。

プラスチック部にはシリコングリスを、金属どうしが摺動する部分にはリチウムグリスを塗りました。グリスの使い分けは重要です。特にプラ部への不適切なグリスの使用は、部品が割れたり劣化したりする原因になります。

組み立てて完成です。

メカ部 修理後

後は再び元通りに組付け、動作確認します。

再度動作確認したところ、問題のトレーの開閉動作は正常になりました。これにて修理完了。

他の部分の機能にも問題がありません。機能が多すぎるうえ使い道のわからない機能もあるので、全て正常かは確認できていませんが…

なお、最後の動作確認時に一度動作不能になり(電源ボタンに反応しない、つまり文鎮化)、非常に焦ったことを追記しておきます。これはフロントI/O基板からメイン基板に接続するフレキが原因でした。フレキの端がわずかに折れ曲がり、接点側に巻き込まれることによって、接点の接触が阻害されていました。これにより、くれぐれもフレキは丁寧に扱うことを心がけましょう、という教訓を得ました。大きいフレキだからといって、精密でないわけではありません。

その他

修理後の中身はこれです。

修理後の中身

キレイになっただけですが、それなりの達成感があります。特にメカ部は黒い部品が多いので、掃除前後の印象が大きく異なります。

なお、リモコンは付属しませんでしたが、代わりに次のものが付属してきました。

付属品

これは本体に書いてある通り、輸送用のスペーサーです。これをCDと同じように入れると、メカ部がある程度固定されるようです。

しかし、面白いのはこのスペーサーが出てきた場所です。これは買い取り当時に付属品として渡されたものではなく、本体カバーを開けたら出てきたものです。その時は何事かと思って驚きました。

修理 総括

故障はレンズの汚れとスイッチの接点不良によるものでした。これならまだ良いのですが、これが回路部の故障だったりすると、手が付けられなくなっていたでしょう。ほぼすべての機能がデジタルIC頼みなので、それが壊れていれば、どうしようもありません。

外観・仕上げ等

外観や仕上げについてのレビューです。

前面

前面

前面。ドライブが左に寄り、操作部が右に寄っているというソニー伝統のデザインです。

前面部品は全てプラ製です。また、足が銀色で豪華に見えますが、プラ製のハリボテです。90年代らしい安っぽさがあります。

パワースイッチはオルタネート型で、オン時は引っ込み、オフ時に飛び出ているタイプです。やはりオーディオ機器の電源スイッチはこれでないといけませんね。

操作部の上半分のボタンのうち数字が書いているものは、そのトラック番号の曲に飛ぶボタンです。これだけでも便利ですが、その他のボタンであまり使わない機能にアクセスできます。このプレーヤーは超多機能と言ってよいでしょう。PC上で再生ソフトを使うより、圧倒的に便利です。

買い取り時に付いていた、”NEW”などと書いているシールは流石に剥がしました。発売後30年以上経った現在、いまさらNEWはないでしょう。しかし面白いので、記念に保管してあります。

電源を投入すると、このようになります。

電源投入時

VFDディスプレイが光ります。また、見づらいのですが、右のボリュームつまみも光ります。ボリューム付近にコストをかけすぎです。

後面

後面

後面。出力端子くらいしかありません。

出力は光デジタル、固定ライン出力、可変ライン出力の3種類もあります。可変ライン出力は、前面のボリュームと連動した出力です。

シリアルナンバーのシールが驚くほど傾いていますが、最初からこうであったと思われます。

出力端子はサンポール漬けにして洗浄しましたが、あまりピカピカにはなりませんでした。また、日焼けが目立つのであまりキレイに見えません。

出力端子付近

外観 総評

いかにもソニーのCDプレイヤーという外観。前面は全てプラなので、90年代らしい安っぽさが光ります。

あきらかにボリューム付近にコストをかけすぎです。

音について

音については、比較できるCDプレイヤーを持っていないので、PCオーディオとの違いを述べたいと思います。

詳細

まず明らかに言えることは、PCオーディオ環境よりもCDプレイヤーから音を出したときの方が、確実に音が薄いということです。平面的とも言えるかもしれません。情報量が足りないというか、奥まっている音をほじくり出せていないというか、そんな感じ。PCから再生する方が濃く詰まった、密度感のある音です。それでいてダイナミックレンジが低いとは感じません(情報量の多い音は微細音がよく聴こえるので、ダイナミックレンジが低いように感じたりします)。やはりPCオーディオの勝利という結果です。

これは内蔵DACを通したとき(つまりライン出力からアンプに繋いだとき)と、デジタル出力でいつも使用しているDACに繋いだときで、同様の感想です。すなわちDACのクオリティに関係はなく、リアルタイムでCDを再生することが音の濃さを損ねるようです。なぜこうなるのかはわかりません。

オーディオ機器を比較する場合、大抵はそれぞれの個性があって、必ずしもどちらが良いと言えない場合が多いのですが、今回は絶対的な優劣を感じました。

音について まとめ

CDプレイヤーから再生するよりもPCオーディオ環境の方がよいものに感じられました。取り込んでいないCDを簡易的に聴く用途になりそうです。

筆者もそうですが、ネット上で情報を発信しているオーディオマニアでのうち、CDをメインで聴いている人は、PCオーディオに行き着くケースが多いようにも感じられます。やはりプレイヤーでは追いつかない絶対的な何かがあるのでしょうか。

機能性・操作性

機能性

機能は必要以上に多い。どう考えても誰も使わないような機能がたくさん付いています。詳しくはオーディオの足跡様の当該ページを参照してください。このプレイヤーの機能がほぼ網羅的に書かれています。

操作性

基本的な操作はしやすいと思います。再生や停止等の基本機能は誰もが容易に使いこなせるでしょう。特定のトラック番号をボタン一発で指定できるのも便利です。

しかし、その他の便利(?)機能はあまり操作性が良いとは言えません。説明書なしでは確実に使いこなせません。

総評

ソニーらしい外観のCDプレイヤーです。音は、わざわざこれを使うほどのものではありませんでした。これは廉価モデルですが、高級なCDプレーヤーはしっかりした音が出るものなのでしょうか。正直なところ、今回の検証ではCDプレーヤーないしCDをリアルタイム再生することに希望を見い出せませんでした。

しかし、取り込まなくても再生できるので(当たり前)、簡易的に聴くには重宝しそうです。

実際、音についてはこうなることを予想していましたが、ソニーというブランドと、CDプレイヤーを修理したことがないという至極そうでもいい理由によって、これを購入するに至りました。もちろん最初に書いた理由もあるのですが、購入動機の90%は修理してみたいからという割合です。

本記事の内容は以上です。

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