スピーカーテクニック

スピーカーネットワーク構成法(超かんたん編)

スピーカーのネットワークの作り方について、非常に大雑把に説明しています。入門編。

細かいことはわからなくても、簡単な構成のものなら実際に作れるような記事にしたつもりです。計算はなし。クロスオーバー周波数とスピーカーインピーダンス別で部品の値が求められる表付きです。3ウェイ以上にも対応しています。

[更新履歴]
・2023/02/23 「音量の下げ方」の節にて文を追加。「スピーカー全体の構成」の節を追加。

ネットワークで何をするのか?

スピーカーのネットワークは何をするものなのか、という問いに一言で答えるならば、ユニット間のバランスをとる、でしょうか。次の画像のように各ユニットの特性がばらばらでも、ネットワークによって補正し、全体としておおむねフラットな特性に調整できます。

ネットワーク概念図

そのためには、邪魔な音は排除する必要があります。例えば、ウーファーの出す中域とツイーターの出す中域が被っている場合、それらは合成され、音量が大きくなりカマボコ型のサウンドになります。この被っている領域の音量を小さくすることで、全体としてのバランスがとれます。

また、ツイーターに低域が入り込まないようにすることで、ツイーターを保護する役割もあります。音楽信号は低域よりも高域の音量が圧倒的に小さいので、高域を担当するツイーターは小さい音量で鳴らす前提のもとに作られています。それに音量の大きい低域の信号が入るとビリついた音が出て、最終的には破損してしまいます。

ネットワークに使う部品

ネットワークに使う部品はコンデンサ・コイル・抵抗の3つです。

次の画像はネットワークの例(Yamaha NS-BP200)です。抵抗1つ、電解コンデンサ2つ、コイル2つで構成されています。

ネットワークの例(Yamaha NS-BP200)

コンデンサ

コンデンサは、低い周波数を通さず高い周波数のみを通す性質がありますので、それをうまく使ってネットワークを構成します。

ネットワーク用としては、電解コンデンサとフィルムコンデンサがよく使われます。以下は各コンデンサの詳細です。興味があればお読みください。

コイル

コイルはコンデンサの反対で、高い周波数を通さず低い周波数のみを通す性質がありますので、それをうまく使ってネットワークを構成します。

スピーカーネットワークで使うコイルはインダクタンスの大きいものが必要なので、専用のものを調達することになります。そのため安価に済ますことはできない部品です(足元を見られている?)。どうしても安いものが欲しいなら、自作することも視野に入れましょう。

比較的安価でコンパクトなコアコイルと、高価でかさばりやすい空芯コイルがよく使われます。どちらがどのような音なのかはよくわかりません。

抵抗

抵抗は音量の調整に使います。

比較的大電力用のものが必要。セメント抵抗や酸化金属皮膜抵抗などを使います。

主に高域用に使うので、何十ワットもの定格電力のものは必要ない場合が多いと思います(高域は音量が小さい=電力が小さい)。かなり余裕を見ても5Wか10Wくらいのもので普通は十分です。

ネットワークの基本のキ

概要

ネットワーク回路は上述のように、不必要な音域を遮断・必要な帯域を通す回路です。このような回路をフィルタといいます。例えば、空気清浄機に付いているフィルタは空気を通し、ホコリ等を遮断するものですが、それと同じです。必要な周波数の信号は通し、不要な周波数の信号を遮断するということです。

特に低域を通すフィルタをローパスフィルタ(Low Pass: 低域を通す)といい、略してLPFと呼んだりもします。また、高域を通すフィルタをハイパスフィルタ(High Pass: 高域を通す)といい、略してHPFです。

dB/octとは?

※ この節は少し難しいので、流し読みしてください。

オーディオマニアが「このネットワークは○dB/octなのでこだわったネットワークだ」と言ったり、スピーカーのカタログにネットワークは○dB/octを採用と書いてあったりします。

このdB/octとは、フィルタの遮断特性のことです。フィルタ回路では、遮断したい周波数のところからピタッと切れて一切の信号が伝わらないのが最良ですが、現実にはそうもいきません。コンデンサやコイルでフィルタを作ると、遮断する帯域は直線的に減少します。この直線の傾きがdB/oct(デシベル・パー・オクターブなどと読む)と呼ばれる値で、1オクターブあたりに何dB変化するのか、という意味です。もちろん、この値が大きいほど急に遮断するので、優れたフィルタだということです。

※ オクターブについて:「ドレミファソラシド」の低いドから高いドまでで1オクターブといいますが、それと同じです。この低いドから高いドまでに周波数は2倍になります。つまり、周波数が2倍になる間隔のことを1オクターブといいます。
(一般的に周波数は対数で表示するので、オクターブを使ったほうがわかりやすくなります。)

以上の説明は難しいので、細かく理解する必要はありません。意味も知らずに使うのは恥ずかしいので、一応説明している程度です。

ネットワークの構成

基礎的なネットワークの構成を以下に紹介します。
なお、特記無き場合、グラフの縦軸は電圧ゲイン[dB](≒音量)、横軸は周波数[Hz]です。周波数は対数表示。

6dB/oct

単純にコンデンサやコイルをスピーカーと直列に接続する方法です。最もシンプルですが被る帯域が広くなり、明瞭さに欠けます。簡素なコンポ用スピーカー等ではこのような構成のこともありますが、市販のスピーカーには基本的に採用されません。

具体的には、次のように構成します。

6dB/octの構成

ウーファーの高域が素直に落ちるタイプであれば、ウーファー側を直結にしてツイーター側にコンデンサ一発のみとすることもできます。これが最小構成です。ツイーターは上記のように低域信号を入力すると破損するので、必ずコンデンサ1つは必要です。

この構成の場合、下の表のようなコイルやコンデンサの値を選ぶとよいでしょう。
例えば、クロスオーバー周波数を2kHz (2,000Hz)にしたい場合で、ウーファーのインピーダンスが4Ω、ツイーターのインピーダンスが8Ωの場合、ウーファー用コイルは0.95mH、ツイーター用コンデンサは3.32μFを選べばよいことになります。ただし、そこまで細かく指定できない(売っていない)ので、近い値のものを買います。この場合はコイルが1mH、コンデンサは3.3μFが好適でしょう。

6dB/oct LPF(ウーファー側) HPF(ツイーター側)
スピーカーインピーダンス→
クロスオーバー周波数 [Hz]↓ L [mH] L [mH] L [mH] C [μF] C [μF] C [μF]
500 3.82 5.73 7.64 26.53 17.68 13.26
600 3.18 4.77 6.37 22.10 14.74 11.05
800 2.39 3.58 4.77 16.58 11.05 8.29
1,000 1.91 2.86 3.82 13.26 8.84 6.63
2,000 0.95 1.43 1.91 6.63 4.42 3.32
3,000 0.64 0.95 1.27 4.42 2.95 2.21
4,000 0.48 0.72 0.95 3.32 2.21 1.66
6,000 0.32 0.48 0.64 2.21 1.47 1.11
10,000 0.19 0.29 0.38 1.33 0.88 0.66

12dB/oct

スピーカーと並列にコイル・コンデンサを足す方法。遮断する帯域の傾きが急になり、理想的なフィルタに一歩近づきます。静電容量とインダクタンスの選び方で特性が変わります。メーカー製のスピーカーは大抵この構成を採用しています。

具体的には、次のように構成します。

12dB/octの構成

12dB/octと6dB/octのネットワークで、クロスオーバー周波数を1kHzにした場合の比較が次の画像です。

6dB/octと12dB/octの比較

6dB/oct構成では重なる部分が多いのに対して、12dB/octではより重なる部分が少なくなっています。この違いはかなり大きく、12dB/octで構成するとクロスオーバー付近のすっきり感やコクのようなものが段違いです。

また、この構成ではコイルやコンデンサの値のバランスによって、落ち始める部分の特性が変わります。次の図は、「基準」と書いている構成から、コンデンサの値を増減させたときの特性です。

LCのバランスによる特性変化

コンデンサを小さくするとなめらかに落ちますが、直線的に落ち着くまでにだらだらと伸びてしまいます。反対にコンデンサを大きくするとスパッと落ちるかわりに、落ちる直前にピークができます。また、最終的には同じ傾きになっているのも注目ポイントです。
基本的に、12dB/octの場合はLPFでもHPFでも同様に、コンデンサの値を大きくするかコイルの値を小さくするとピークができ、反対の場合はゆるく落ちるようになります。
細かい部分を理解する必要はありませんが、要するに、12dB/octにする場合はコイルやコンデンサの値をあまり変な組み合わせにはできないということです。

12dB/octの場合、おおむね次の表のようなコイルやコンデンサの値を選べばよいでしょう。まずはLPF、つまりウーファー側です。

12dB/oct LPF(ウーファー側)
スピーカーインピーダンス→
クロスオーバー周波数 [Hz]↓ L [mH] C [μF] L [mH] C [μF] L [mH] C [μF]
500 3.24 101.29 4.86 67.52 6.48 50.64
600 2.70 84.40 4.05 56.27 5.40 42.20
800 2.03 63.30 3.04 42.20 4.05 31.65
1,000 1.62 50.64 2.43 33.76 3.24 25.32
2,000 0.81 25.32 1.22 16.88 1.62 12.66
3,000 0.54 16.88 0.81 11.25 1.08 8.44
4,000 0.41 12.66 0.61 8.44 0.81 6.33
6,000 0.27 8.44 0.41 5.63 0.54 4.22
10,000 0.16 5.06 0.24 3.38 0.32 2.53

HPF(ツイーター側)はこちら。

12dB/oct HPF(ツイーター側)
スピーカーインピーダンス→ 6Ω 8Ω
クロスオーバー周波数 [Hz]↓ L [mH] C [μF] L [mH] C [μF] L [mH] C [μF]
500 1.00 31.26 1.50 20.84 2.00 15.63
600 0.83 26.05 1.25 17.37 1.67 13.03
800 0.63 19.54 0.94 13.03 1.25 9.77
1,000 0.50 15.63 0.75 10.42 1.00 7.82
2,000 0.25 7.82 0.38 5.21 0.50 3.91
3,000 0.17 5.21 0.25 3.47 0.33 2.61
4,000 0.13 3.91 0.19 2.61 0.25 1.95
6,000 0.08 2.61 0.13 1.74 0.17 1.30
10,000 0.05 1.56 0.08 1.04 0.10 0.78

3ウェイ以上の場合

3ウェイ以上の場合、中間のユニットは高域と低域の両方をカットしなければなりません。その方法は簡単で、上記の低域カット用のものと高域カット用のものをほぼ直列に接続します。

ミッドレンジ(スコーカー)の構成

12dB/octの場合は少し注意が必要です。次の図は、12dB/octのLPFとHPFを重ねる場合に考えうる手法を2種挙げています。

ミッドレンジで12dB/octにする方法の比較

この場合、左の構成の方が想定される挙動に近くなります。右の構成でもほとんど似たような特性にはなりますが、ややずれますので、基本的には左の構成が推奨されます。

この場合の各部品の値は、上記の表からそのまま求められます。
例えば、クロスオーバー周波数が800Hzと3kHzの3ウェイシステムを作りたい場合で、6Ωのスコーカーを使い12dB/octで構成するとき、800HzのHPF3kHzのLPFを足したような特性が欲しいわけです。それを表から読み取ると、HPF側はC1=13.03μF、L2=0.94mHで、LPF側はL1=0.81mH、C2=11.25μFとすればよいでしょう。これを実際の部品で組むとすると、C1=12μF、L2=1mH、L1=0.8mH、C2=10μFあたりでしょうか。3ウェイはネットワーク用の部品が倍に増えるので、調整が面倒になります。

音量の下げ方

音量を簡単に下げるには、抵抗をコイルやコンデンサの前に直列に接続します。

簡単に音量を下げる

スピーカーの直前に入れると、フィルタ回路側からはスピーカーのインピーダンスが変化したのと同じように見えます。このような構成の場合、スピーカーインピーダンスは非常に重要で、フィルタの挙動に直接関わってきます。せっかく適切な部品を選んだのに、能率の調整をしたら特性が変わるというのは不便ですので、左側の図のように抵抗を挟み、スピーカーのインピーダンスは変化しないようにするのがオススメです。

逆に、スピーカーの直前に入れる方法は、スピーカーのインピーダンスを変化させつつ音量を変えたい場合に便利なこともあります。

基本的にはツイーターやミッドレンジの音量を下げます。その理由は、ツイーター等がウーファーより音量が大きいことが多いため、自動的にそうなるからです。
しかし、もしウーファー側を下げようとすると、かなり大きい抵抗が必要となり、入手が困難という問題もあります。ウーファーは音量を下げないように使うのが基本です。

抵抗をどのような値にすればどの程度音量を下げられるのかを下表に示します。これは厳密な計算結果そのままですので、実際は近い値の抵抗値を選んでください。

スピーカーインピーダンス→
減衰量 [dB]↓ R [Ω] R [Ω] R [Ω]
-0.5 0.24 0.36 0.47
-1 0.49 0.73 0.98
-2 1.04 1.55 2.07
-3 1.65 2.48 3.30
-4 2.34 3.51 4.68
-5 3.11 4.67 6.23
-8 6.05 9.07 12.10
-10 8.65 12.97 17.30

スピーカー全体の構成

以上で細かい要素の説明は終了です。次はスピーカー全体の構成に軽く触れます。

基本的に、ネットワークを介したユニットを並列に接続すれば、目的のクロスオーバーを備えたスピーカーが完成します。もちろん、エンクロージャーの設計などがまた別の問題としてありますが、回路的にはそうだということです。

2ウェイの場合の構成

2ウェイの場合、言うまでもなくこのように構成します。もちろん、ツイーターの音量を下げたいときは、ツイーター側に抵抗が入ります。

上記「音量の下げ方」でも軽く触れていますが、ウーファーの音量を下げて使うのは推奨されないので、ツイーターより音量が大きいウーファーを組み合わせることはできません。あまりそのようなことは起きないと思いますが、ソフトドームツイーター(ツイーターとしては能率が低い)と38cmなどの大口径ウーファー(大口径は能率が良い)の組み合わせではそうなる可能性があります。

ユニットの極性は、基本的に図にあるようにするのが一般的ですが、後述のようにいろいろ試すのがオススメです。

また、必ずこのように構成せず、ウーファー側が6dB/oct、ツイーター側が12dB/octで構成するという手もあります。逆もできますが、基本的にツイーター側を12dB/octにすると耐入力が上がることから(低域信号がよりカットされるため)、この組み合わせが一般的です。

次は3ウェイの場合です。

3ウェイの場合

3ウェイの場合は、ツイーターとウーファーの間にミッドレンジ(スコーカー)を挟むような感じで構成します。

左の全て6dB/octの構成は、2つのクロスオーバーをかなり(どれくらいかはわかりませんが)離さないと、ツイーターとウーファーのカットしている部分とミッドレンジの音が合成され、ミッドレンジの音量が異常に大きく感じると思います。
12dB/octはだいぶマシなはずですが、やはり同様の問題があり、ミッドレンジの音量を下げる必要がある場合が多いでしょう。

4ウェイなどにしたい場合は、ミッドレンジを足すような感じでユニットと回路を足していきます。つまり、4ウェイの場合はツイーター・ミッドレンジ1・ミッドレンジ2・ウーファーという構成です。たぶん、自作でここまでする人はほとんどいないと思います。

基本的に、3ウェイ以上は素子の数が多くてチューニングが面倒なので、あまりオススメはしません。パワーのあるウーファーとしっかり伸びるツイーターを使えば、2ウェイでも十分にワイドレンジなスピーカーが作れます。2ウェイならではのスッキリ感も魅力です。

全体のチューニング

ネットワークを通してスピーカー全体を鳴らすとき、基本的にはほぼフラットになるように設定するのがコツです。もちろん、低音が多めの方がよいというのであれば、高域を少し減らすなどの工夫はしてもよいと思います。

ネットワークを構成する場合で最も問題になるのは、クロスオーバー付近です。このあたりに山や谷ができないようにするのが重要。本記事に掲載の通りに部品を選べば、そのあたりの問題はほぼ起きないと思いますが、スピーカーの公称インピーダンスがでたらめな場合があるので注意が必要です。例えば、6Ωと書いてあるのに実際は4Ωのものも多い。それを見破るために、テスターがあると便利です。

フラットかどうかとか、クロスオーバー付近の山や谷がないようにすると書きましたが、それはどうするのかというと、測るのが早い。スマートフォン等でごく簡易的に周波数特性を測るアプリがあるので、そういったものを使うだけでも完成度は段違いになります。そんなものでまともに測れるのか、と思うかもしれませんが、最近のマイクは高性能なので、意外とまともな特性をしています。

結局のところ、最終的にはいろいろな部品を試してみることになります。オーディオ用のまともな部品を使いたい場合は高価ですので、安い部品を大量に買って組み合わせたりして、ある程度適切な値にあたりをつけ、そこから高級な部品を買うのがよいでしょう。
例えば、電子部品が格安の秋月電子で無極性の電解コンデンサ1μFを10個買っても100円ですが、これを並列に使うだけで1~10μFの間の任意の容量を作れます。直列を許容するなら0.5μFなども作れます。

ユニットの正相・逆相も試してください(スピーカーのプラス・マイナス端子を入れ替えて接続してみる)。一応、6dB/octならツイーターを逆相にするなど、お決まりのパターンがありますが、そもそもユニットに書かれている極性の表示がアテにならないので、最終的には耳で聴いてセッティングします。このときの音の違いは顕著で、どちらかがダメダメでその逆が非常にしっくりくる音になると思います。

細かいチューニング

細かいチューニングをする方法はいくらでもありますが、代表的なものを紹介します。

コンデンサに小容量の別のコンデンサを並列に接続するという方法があります。特に電解コンデンサの場合、小容量のフィルムコンデンサを並列に取り付ければ、高域に元気が出やすくなります。小さいフィルムコンデンサは比較的安価なので、費用対効果が高いチューニングです。

ネットワーク用の素子をがっちり固定する方法も一般的です。これは最後の最後にエンクロージャーに固定するときに行うので、細かいチューニングとは言えないかもしれませんが。

おわりに

スピーカーネットワークの構成法を大雑把に説明したつもりでしたが、明らかに超かんたんとは言えない内容になってしまった感じがあります。とはいえ、細かく解説し始めると本が一冊できるような分野なので、これでもざっくりとした方ではあると思います。少なくとも、電卓で計算しなくてもよいような記事にはしました。

よくわからない部分がある場合は、お気軽にコメント等でご指摘ください。

もう少し細かい内容の記事を作る予定もあります。

本記事の内容は以上です。

COMMENTS コメント

  1. ねこ丸 より:

    800Hzを見るとasahi-netさん https://bit.ly/3WSuaGf
    と値が違うようですが、どっちだろうと悩んでしまいます。

    • モソス より:

      コメントありがとうございます。管理人です。
      ご紹介いただいたページには「12dB/oct -6dBクロス・6dB/oct -3dBクロス」と記載されていますので、12dB/octの場合、ウーファー側・ツイーター側共に-6dBまで下がったところでクロスオーバー周波数になるように計算していると思われます。
      本記事に記載の定数は、それと異なり、どちらの場合でも-10dB程度でクロスするように計算していますので、定数が異なる値になっているようです(asahi-netさんよりクロス付近がだいぶ離れている)。この計算法にはある程度根拠があり、だいたい-10dB程度でクロスさせれば良い具合に繋がるという経験則に基づいています。これ以上近づけると、クロス付近が突っ張ったような感覚が出てきてしまうと感じています。また、メーカー製のスピーカーもおおむねこのような定数に設定されていることが多い。
      つまり、クロスオーバーに関する見解の相違によって定数が異なるようです。値が違う説明としてはこのような感じですが、どちらを参考にすればよいかは、私からはなんとも言えません。

      • マコト より:

        能率の差が激しいウーファーとツイーター(4Ω)なのですが、現在ツイーターはコンデンサーの手前に18Ωの抵抗を付けて10ufで4k/-6で使用しております。もしこれをコンデンサーの後に18Ωの抵抗を入れると、簡易な計算上 コンデンサーは、1.8ufになるのですが、何か音質の違いは出ますでしょうか?

        • モソス より:

          コメントありがとうございます。管理人です。
          その場合、音は確実に違う気がします。ネットワークの特性云々よりも、コンデンサの違いが大きいと思います。
          同じシリーズのコンデンサだとしても、静電容量によって細い特性(ESRや寄生インダクタンスなど)が違います。
          また、そもそも、何か少しでも変えたら音に変化があるのがオーディオですので、測定では現れない違いがあるのは確実です。

  2. Hatter より:

    非情にわかりやすい説明で有難うございます。最後に素人は12㏈/OCT 3WAYの解説に回路が3つないのか?
    L.M.Hの全体回路図を記載してもらいたいです。

    • モソス より:

      コメントありがとうございます。管理人です。
      たしかに、そのあたりの説明は抜けていますね。現状の内容では、スピーカーとして実際に組んだとき、全体がどのような回路になるのかがわかりにくくなっています。定数を選ぶことを優先しすぎて、全体の説明を忘れていたようです。記事の加筆を検討します。
      大変参考になるご意見をありがとうございました。

  3. 堀井 より:

    質問です。
    -12dB/octのLCネットワークの接続方法(正相、逆相)を教えてください。
    受け売りですが、―12dB/octの場合、180°位相がずれるので逆相接続が基本とよく目にします。
    例えば、3wayの場合、ウーファー正―ミッド逆―ツィータ正、若しくは、
    逆―正―逆のように接続するのが正解ということでよろしいでしょうか。
    よろしくお願いします🙇

    • モソス より:

      コメントありがとうございます。管理人です。
      12dB/octの場合、確かに原理的には逆相が正しい気もしますが、実際はその通りにもいきません。
      私の経験上、2ウェイならどちらも正相、3ウェイならツイーターかウーファーのどちらかのみ逆相にする(つまり、ウーファー正相・ミッド正相・ツイーター逆相か、ウーファー逆相・ミッド正相・ツイーター正相とする)のが最もスッキリ決まりやすいと思います。メーカー製スピーカーもこのようにセッティングしてあります。
      位相は人間の耳には遅延として感じられるはず(?)なので、ユニットの前後位置などでも違う可能性もあります。
      結局、聴いて最適な方を選ぶしかないと思います。特にクロスオーバー付近に注目して、ピークやディップを感じにくい方を選べばよいと思います。

  4. N.Yasuda より:

    電気知識が無い人にも分かり易い説明ご苦労様です。
    私は一応電気やLSIの設計もしてきた者で今は引退して、アンプやスピーカーの自作設計製作や中古機器の流用や改良等を楽しんでいる者です。
    クロスオーバー用のLCR部品の値段を考えるとIC化したアンプを使う方が廉く高性能な物が制作できますが、取り敢えず中古品はLCRやカットオフ特性の検討や変更等で特性改善や音質改善(目標の音質用特性)などしています。
    LCRの値を確認するにはスパイスシミュレーター等を使うと実験前に大まかな特性を把握できます。
    また、ウーハーの特性で音質が変わるのでバスレフのポート長さの拡張等も行っています。
    箱の補強や吸音材の追加や削減でも色々な帯域で音質が変わるのでチューニングも行って楽しんでいます。
    がっかりした中古品をまずまずの音に出来た時は満足感があります。
    断線修理も苦労しますが上手く行くとホッとします。
    ウーハーレベルよりもツイーターレベルが低い物を改善するのに困って、ウーハーに軟質のビニールテープやゴムなどのシートを張り付けて感度を下げて合わせています。
    色々な改造ではウーハーに直列抵抗を入れてレベルを下げている例も多いので音質変化がどうなんだろうと思ったりしています。
    最近、ネオジ磁石が販売されているので、2㎝直径の物を入手してツイーターのポールピースの前に逆極性に貼り付けてギャップの磁束を強化する方法を試そうと思っています。 ドームツイーターなどではドームを外せる構造の物が多いので有効かなと思っています。

    • モソス より:

      コメントありがとうございます。管理人です。
      電気の専門家からのコメントということで、恐縮しております。私は機械系が専門で、制御工学の観点から多少の電気の知識を持ち合わせている程度です。
      私も自分でネットワークをいじるときは、SPICEでシミュレーションしてから素子を買ったりしています。
      自分も中古をよく買いますが、あまり改造派ではないので、できるだけ新品に戻すように修理しているつもりです。どうしようもないほどひどいものなら、容赦なく魔改造します。面白いものですよね。
      磁石をポールピースに付ける実験は、ダイソーのスピーカーの改造でしたことがあります(当該記事)。これの場合は音の違いがわかりませんでしたが、測れば多少は音圧が違うのかもしれません。なんにせよ、やってみて経験値を積むのはとても良いと思います。

  5. 荻野肇 より:

    6dB/octのハイパスフィルターのCの計算式は一般的に159,200÷f÷Rが良く使われます。例えば8Ωのツイーターを10㎑でクロスしたい場合は159,200÷10,000÷8=1.99(㎌)となります。
    一方、本記事の上のほうの早見表で数値を当てはめてみると0.66㎌です。計算結果と3倍もの差がありますが、何か別の計算式があるのでしょうか。

    • モソス より:

      コメントありがとうございます。管理人です。
      そちらの計算式の場合、代入した周波数で-3dB(約0.7倍)となるような特性になります。
      これがフィルタ界隈で言うところのカットオフ周波数であり、それはそれで正しいと思います。(そのように定義したカットオフ周波数からその式を求められます。)
      しかし、実際にネットワークとして組む場合に、そこをそのままクロスさせると、かなり突っ張る感じになります。直感的な説明をすると、ツイーターとウーファーの音圧が0.7倍にしか落ちていないのに、それらが足されて音が大きくなる(1.4倍)感じです。
      本記事の表は、それを考慮して-10dBあたりでクロスするようになっているので、あからさまな違いが生じることになります。
      計算式を具体的には覚えていませんが、伝達関数を求めて、利得が-10dBになる場合について静電容量、抵抗値、周波数の関係を求めた気がします。オリジナル計算式です。

  6. h-o より:

    こんにちは。
    手元のスピーカーが一風変わったスピーカーで、ツイーターを追加しようと色々考えていたのですが混乱してしまっています。
    こちらのページは大変に整理された内容で、だいぶスッキリしました。
    後日(近いうち?)に相談に乗っていただきたく、まずはご挨拶までと思い書き込んでおります。

    モノはBoseの901なんですが、イコライザで高域を20dBくらい上げているので、その分を事前に落としてからアテネーターを噛ませて、かつ12dB/octくらいのカーブで落としてやらないといけなそうなのです。
    詳しくは後日に。それではまた。

    • モソス より:

      コメントありがとうございます。管理人です。
      Bose 901ですか。音場型でフルレンジユニット大量の恐ろしげなスピーカーみたいですね。Boseらしいところ全部入りのような。
      ツイーターを追加するのはなかなかおもしろい試みと思いますが、ここまでBoseらしいものをいじるのも無粋な気がしないでもない。
      ユニットがウーファー的な特性のようなので、付属のアクティブイコライザなしで、アンプ→ローパスフィルタ→901本体直結でウーファーとし、それにハイパスフィルタ→ツイーターと足すのが現実的かもしれません。さすがに20dBも持ち上がっている高域をパッシブフィルタで落とすのは容易ではないと思います。

  7. らる より:

    こんにちわ、少し質問があります。
    18dB/octのスロープでツイーターの場合コンデンサーを二つ使うと思うのですが、二つのコンデンサーの関係性はどうなっているのかわかりますか
    例えば、Asahi-netさんやアイワさんの計算では5Ωで4000Hzのクロスポイントにする場合、5.3uFと15.9uFと計算結果になりますが、15.9ufの部分を変えると5.3uFの部分はどう変わるのか知りたいです。

    • モソス より:

      コメントありがとうございます。管理人です。
      12dB/oct以上の回路では特性の変化がありますので、コンデンサのみの関係性を議論はできません。コンデンサ2つとコイル、合わせて3つの値が適切である必要があります。
      そちらで使用した計算結果と同じ特性を得るには、次の計算式で定数が求められます。
      C1=1/3πRf
      C2=1/πRf
      L=3R/8πf
      ただし、C1はターミナル側コンデンサの静電容量、C2はスピーカー側コンデンサの静電容量、Lはコイルのインダクタンス、Rはスピーカーのインピーダンス、fはカットオフ周波数(そちらの表現ではクロスポイント)、πは円周率(=3.141592…)です。
      計算式から見ると、スピーカー側コンデンサはターミナル側の3倍の容量が必要です。ただ、コイルの値も合わせないとフィルタ特性が変化します。

  8. プーラード より:

    いつも参考にしております。カーオーディオをDIYで楽しんでいるものです。-10dbでクロスさせる具体的な数値が大変参考になり助かります。みんカラという車系SNSで参考urlとして紹介していますがご迷惑でしたら削除しますのでおっしゃってください。有益な情報をありがとうございます、お礼まで。