ヘッドホン

Pioneer DJ HDJ-X5のレビュー:低音多めだがクリアな音。

Pioneer DJのDJヘッドホン、HDJ-X5のレビューです。

同ブランドの最廉価から1段階上のDJヘッドホン。無名なHRM-5と違い、比較的有名なPioneer DJブランドのヘッドホンだと思います。

かんたんレビュー

長所
  • 低音多めだがクリアなサウンド
  • 鳴らしやすく音量も取りやすい
  • 携帯性が高い
短所
  • 快適な装着にはコツが必要
  • キャリングポーチがすごく硬い

外観・仕上げ等

外観や仕上げについてのレビューです。

全体

全体

全体。ほぼ黒一色で、DJヘッドホンとしては地味です。

全体的に角ばっており、メカ感の強いデザインです。ハデすぎないが見た目にこだわったことが十分に伝わります。

ヘッドバンドからハウジングに繋がる部品の基部(メーカーロゴ付近)は細くて折れそうですが、今のところそのような問題はありません。この部分には比較的強度がありそうな素材が使われています。
(初期ロットではこの部分が折れるとかでリコールになった気もしますが、それは逆に、現在のものは問題がなくなっているということのはずです。)

仕上げ

材質はほぼ全てプラスチック。ほとんどの部品に塗装してあり、安っぽくは見えません。

また、塗装は強くつや消しで、細かいシボ感があるとすら言えるものです。ぱっと見の上質感と触り心地は良いのですが、いかんせん傷が付きやすく目立ちやすい。上の画像でもこすったような跡がわかると思います。そんなに乱暴扱いはしていないのですが…

側面

側面

側面。やはり傷が目立ちます。

ハウジングのくぼんでいるところには格子状のモールド(逆に、突起が並んでいるとも言える)があり、周囲の銀色のリングと相まってやや装飾的な雰囲気が出ています。なお、格子状のモールドはハウジング側面にもあります。

ハウジングとアーム部の結合部(ヒンジ)は非常によく動きそうな見た目ですが、これは意図的でしょう。全体的によく動いて変形合体しそうなデザインを目指したのではないかと思います。

上面

上面

上面。ヘッドバンドがあります。

ヘッドバンドにはロゴがエンボス加工されています。ごく普通です。

バッフル面

バッフル面

イヤーパッドを外すとこうなっています。

バッフルは傾斜していないタイプです。このヘッドホン、イヤーパッドが薄めなので、快適に装着するにはコツがいります。詳細は後述

ドライバーは特に言うことのない透明なタイプです。

折りたたみ

折りたたみ時

変形…もとい、折りたたみ時はこのようになります。このヘッドホン、動きそうなところ(ヒンジに見えるところ)はきちんと動くので、メカのような面白さがあります。

外観 総評

メカ感のある外観です。しかし、それでいてぱっと見はハデではないという絶妙なデザイン。世界的なデザイン賞を受賞したようですが、それにも納得できます。

しかし、傷が目立ちやすいのは惜しいところです。使うほどに味が出ると考えられなくもないと思いますが…

付属品など

付属品は次の3点です。

  • カールケーブル
  • 標準プラグ変換アダプタ
  • キャリングポーチ
付属品

カールケーブル

1.2mカールケーブル。1.8mまで伸びるとされています。

ヘッドホン側にストレートな部分があるので、頬にカール部分が当たって煩わしいということはありません。

ヘッドホン側プラグはミニミニプラグで、ロック機構付きの特殊仕様です。アンプ側はL字のステレオミニで、ねじ込み式の変換プラグに対応します。

標準プラグ変換アダプタ

ステレオミニプラグを標準プラグに変換するアダプタ。ネジ式で便利です。

キャリングポーチ

持ち運び用のポーチです。超厚手のビニールのような質感で、非常に硬い合皮のような材質でできています。撥水・透湿の上着の生地を5枚くらい重ねたような感じか。

生地が硬いので口をすぼめるときに大変(力が必要)ですが、その代わり防御力は高いと思います。他にない独特のポーチです。

音について

音についてのレビューです。

概要

全体的にはフラットに低音を盛った感じ。高域がやや少なめにも感じるので、ピラミッド型とも言えます。

このヘッドホンの音のイメージが次の画像です。

Pioneer DJ HDJ-X5 音の傾向

この図の詳細はこちら

周波数的な特徴

低音域

DJヘッドホンなので、やはり低域が魅力です。

低域は多めですが締まりもあり、伸びが良い。上質な低音がそのまま盛られた感じです。

しかしながら、低音が多すぎるわけではなく適切に多い程度で、下品な印象は全くありません。やや低音が多いバランスが好きならば、リスニング用ヘッドホンとして常用するのもアリです。

もちろん、DJヘッドホンを名乗るものなので、ビートを取りやすい低音の盛られ方をしてあるようには感じます。

中高音域

中域は低音に負けておらず、十分にクリアです。ただし、超クリアとは言えないかもしれません。温かみのある音色であり、安心感のある中域です。

高域は少しだけ控えめですが、質が良くヌケは良い。刺さりはほとんどなく、ただのドンシャリヘッドホンとは言わせないクオリティがあります。

音場感・定位感

音場は狭め。耳に貼り付くような空間です。しかし、低位の良さがあるのか狭い中にも確実に空間を感じられます。平面的な音ではありません。

音量・鳴らしやすさ

音量

音量はかなり大きい。出力が小さい機器でも満足に鳴らせるどころか、大抵のアンプでノイズが聞こえて少々困る程には能率が高い。

特に市販の単体アナログヘッドホンアンプはノイズが多いものも珍しくないので、良い環境で使おうとするとじゃじゃ馬になります。

比較的ノイズが多いであろうDJの現場で使うことを考えると、能率が高いことを手放しで褒められないかもしれません。

鳴らしやすさ

非常に鳴らしやすい。パワーのあるアンプとiPad直挿しで比べても、ほとんど音に変化がありません。しょぼい環境でも低音は健在で、多少ゆるくはなりますが、しっかり鳴ります。

音について 総評

スタジオモニター的な素直さと気持ちの良い低音を兼ね備える音です。低音の多さのバランスが良く、リスニング用ヘッドホンとしても使える魅力があります。

鳴らしやすさや音量の取りやすさも魅力ですが、この部分はじゃじゃ馬な部分もあります。

装着感

装着感についてのレビューです。装着感はおおむね良いのですが、少し工夫が必要です。

イヤーパッド

イヤーパッドの表面は合皮で、やや厚手ですがしっとりと上質な質感です。内部スポンジはモッチリ系で、硬くもなく柔らかすぎることもない、ちょうどよい柔らかさです。

形状は正円で、外形140mm、内径55mm、深さ15mm程度。内径がやや小さく浅めで、半分オンイヤーのようになることが多いと思います。

このヘッドホンを快適に装着するには、耳とイヤーパッドの位置関係が重要です。具体的には、耳の軟骨があり最も横に突き出ている部分(対輪ついりんという名前らしい)を、イヤーパッドの内側に沿わせるように装着すると良い具合で装着できます。このとき、耳の最後部の柔らかい部分はイヤーパッドに潰されますが、それはあまり気にならないと思います。このヘッドホンは上述のバッフル面の写真のように、ドライバーの周りがくぼんでいるので、そこに耳の最も出っ張った部分を収めるようにする、という理屈です。このように装着しなければ、その対輪がドライバーの部分に当たり、短時間で非常に痛くなります。

購入当初はひどく装着感の悪いヘッドホンだと思っていましたが、このように装着することで問題は解消され、快適になりました。

ヘッドバンド

ヘッドバンドもモチモチ系で、クッション性は高い。頭頂部に悪さをすることはほぼありません。

側圧

側圧は強め。DJ用なのでズレにくいように配慮したのかもしれません。イヤーパッドがモチモチなので荷重が分散され、そこまで圧迫感は感じないと思います。

装着感 総評

装着の仕方のコツを掴めば装着感は良い。そうでなければ世界一耳が痛くなるヘッドホンになります。

半分オンイヤーのようなイヤーパッドの大きさと、側圧の強さを許容できるか、コツを掴めるかがこのヘッドホンを快適に装着できる分かれ目と言えそうです。

携帯性

可搬性や遮音性についてのレビューです。

持ち運びしやすさ

持ち運びはしやすい。コンパクトに折りたためますし、ポーチも付属します。ポーチは硬くて扱いにくいものですが、それだけ防御力は高いはずです。

外部遮音・音漏れ防止

遮音性・音漏れ防止性能はやや高い。密閉型としては一般的な水準です。音のチューニングにバスレフを採用とされているので、その穴から入ってくる音や漏れる音があります。

特に高域のシャカシャカした部分が漏れやすく、大音量で聴いていると「典型的な音漏れしている輩」になります。人が多く静かなところで使いたい場合は注意が必要です。

総評

メカのようなデザインで低音多めのヘッドホン。動きそうなところは全て動く面白さがあります。

音は低音一辺倒ではなく、全帯域において質が良いが必要十分な低音が盛られている感じです。鳴らしやすいのも魅力。

低音が多めな音が好きか、もしくはデザインに惚れ込んだという場合は間違いのない買い物になるでしょう。ただし、うまく装着するコツを習得してください。それさえクリアすれば良いヘッドホンです。

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