イヤホンヘッドホン

SHURE SE215のレビュー:遮音性高く無難な音のイヤホン。

Shure SE215のレビューです。

Shureのイヤホン・SEシリーズの2番めに安価なモデル。比較的安価なイヤーモニタータイプの定番とも言える、ロングセラーモデルです。

特に当たり障りのない音を出し、遮音性が非常に高いイヤホンです。

※ 本記事で言及されるスペック等については、特記無き場合、公式サイトの当該ページに準拠しています。

外観・仕上げ等

外観や仕上げについてのレビューです。

全体・本体

全体

全体。無色透明な本体と、それに合うように透明スリーブで銀色シールドのケーブルが付いてきます。

メーカーロゴが外側にデカデカと表示されていますが、透明な本体にシルバーのロゴなので目立ちません。目立つ方がよいのかそうでないのかは、筆者にはよくわかりません。

本体の仕上げは、見ての通りプラスチックです。

本体

ケーブルとイヤーピースを外した本体はこうです。

ガワが透明で中が丸見えですが、ダイナミック1発なのでスカスカです。

イヤーピースは入るノズルは長く細い。そのおかげで、耳の中にイヤーピースを残したまま外れるということがまずありません。安全性が高い。
しかし、細いあまりに大抵のイヤーピースを流用できないので、注意が必要です。

外観 総評

イヤーモニタータイプの見た目をしています。それ以外にはあまりコメントが出てきません。特にプロ志向のイヤモニはどれもほぼ同じ見た目をしているので、外観をレビューするのがなかなか難しい。

付属品など

付属品は次の通り。

  • ケーブル
  • イヤーピース(計6種、フォーム・シリコンが各3種の大きさ)
  • 耳垢除去棒(?)
  • キャリングポーチ

ケーブル

付属のケーブルです。

イヤホンのケーブルにしては非常に硬く、しなやかではありませんが、それだけ強靭なのでしょう。コネクタ部や分岐部は、次のように強そうなものです。

ケーブル コネクタ部と分岐部

イヤホンとの接続部は次のようになっています。

イヤホン本体との接続部

コネクタはMMCXです。コネクタ付近は針金が入っており、耳の形に合わせ自由に曲げて使います。

このケーブルは透明な被覆で銀色のシールドが見えるようになっていますが、ちらほらと銅色のままのものが織り込まれており、完全に銀一色ではありません。意外に芸が細かい。

イヤーピース・耳垢除去棒(?)

イヤーピースはフォームタイプとシリコンタイプの2種類が同梱されており、それぞれ3つの大きさから選べます。

フォームタイプは、先に指で縮めてから耳に入れます。装着がやや面倒ですが、広がって耳の穴の形にフィットするので、非常に遮音性が高い。

シリコンタイプはやや硬めですが、フィット感が悪いというほどではないと思います。気軽に装着できるようになりますが、遮音性はやや劣ります。

また、ノズルに詰まった耳垢を除去するために使うと思われる棒が付属します。

イヤーピースと耳垢除去棒(?)

キャリングポーチ

楕円形のキャリングポーチが付属します。カラビナ付きで便利かもしれません。

キャリングポーチ

中は次のようになっています。

キャリングポーチ 中

メッシュのポケット付きなので、ケーブルとイヤホン本体を分離して収納したり、もしくはイヤーピースなどを収納しておくこともできます。

また、このポーチは内側がわずかにふわふわしており、中に綿のようなものが入っているようです。かなり防御力のあるケースだと思います。

音について

音についてのレビューです。

この節の評価は、フォームタイプのイヤーピースを装着した状態のものです。シリコンタイプに変更したときの音に違いは後述しています。

概要

全体的にはフラットから弱カマボコバランスで、当たり障りのない音という表現がしっくりくる雰囲気です。

次の図は、このイヤホンの音を感覚的に表したものです。

Shure SE-215 音の傾向

この図の詳細はこちら。

Plastic Audio式の図の説明
本サイトにおける、スピーカーやヘッドホンの音の傾向を可視化した図の説明です。

以下は詳細です。

周波数的な特徴

低音域

低域は適正な量と思いますが、一般的なヘッドホンやイヤホンと比べると少なく感じることもあると思います。

しかし、タイトな低域というほどでもなく、伸びるような感じはあまりありません。超低域の振動として感じられるような帯域は、あまり鳴っている感じがしません。

中高音域

中域はあまりクリアでなく、少々モッサリ気味です。かといって、あからさまに濁っているというわけではありませんが。少なくとも、超クリアとは決して言えないと思います。これを許容できるか否かによって、このイヤホンの音に関する評価は大きく違ってくる気がします。

高域はやや弱めで、刺さりはありませんが、そのかわり美しさもありません。あっさりした高域です。

ここまでの文だと、イマイチな音でモッサリ系の音を出すのかと思われそうですが、それは正しくありません。上記のように、感動するような音やスーパークリアな音ででないのは確かですが、しかし、実際に聴けばそこまで悪くはない音という感じです。特に刺さりやピークがなく、当たり障りのない音と言ってもよい。つまり特徴がないのが特徴、みたいなタイプなので、特筆するほど褒めるところは見つからず、わずかな欠点ばかりを拾って書き記すことになるのです。

その他

ここまでの評価は上述の通り、フォームタイプイヤーピースを装着した状態のものですが、シリコンタイプに換装すると、低域がやや増え、さらに締まるような感覚が得られました。低域以外はあまり変化が感じられませんでした。

音場感・定位感

音場は広くはありません。イヤホンなので、左右の耳の間に広がる感覚です。

定位は普通。左右の耳の間に直線的に定位します。

音について 総評

当たり障りのない音です。60点主義とでも言えばよいのか。変な音を出さないことに間違いはなく、それが音に関しての最大の魅力ですが、面白みのある音ではありません。

しかし、音のみでこのイヤホンを評価するのは早計というものです。筆者はこのイヤホンの最大の魅力はその遮音性にあると思っています。音の出る耳栓と思えば、十分すぎる音が出ていると感じています。

装着感

装着感についてのレビューです。

イヤーピース

フォームタイプイヤーピースは適度な柔らかさで、耳に十分にフィットします。たまにフォームタイプでも硬すぎるものがあったりもしますが、そのようなことはありません。完成度の高いイヤーピースです。

シリコンタイプはやや硬めのものですが、それが問題になることは特にないと思います。ごく普通の使い心地です。

本体形状

本体は耳に完全フィットし、吸い付くような装着感です。どのような耳の人でも同様かは保証できませんが、世界的に販売しているものですし、最大公約数的なセッティングになっているとは思います。

また、装着時は本体が飛び出さないので、なにかに引っ掛けて脱落することはないと思います。出っ張りがないので、慣れないうちは外すのに少々難儀するほどです。

その他

ケーブルは耳の上に回してから下ろすタイプ(いわゆる”シュア掛け”の元祖)なことも相まって、よほどのことがない限りは耳から脱落しません。このタイプは耳の上部分で少々収まりが悪い感じもありますが、タッチノイズが減る利点もあります。

装着感 総評

装着感は非常に良い。特に本体形状が絶妙で、あつらえたかのように吸着します。また、アゴの具合の変化で音が変わることがないフォームタイプイヤーピースも高評価です。

携帯性

可搬性や遮音性についてのレビューです。

持ち運びしやすさ

イヤホンなので小さく、防御力の高いポーチも付いているので、持ち運びしない手はないとすら言えます。

外部遮音・音漏れ防止

外部遮音性は極めて高い。これはこのイヤホンの最大の魅力と筆者は思っています。普段からこれを着用して電車やバスに乗ることはためらわれるほどです。

この遮音性たるや、飛行機内でも通用するほどです。特にエアバスA320等の小型機の翼付近はかなりうるさいのですが、そこでもある程度遮音でき、音楽再生が不自由というほどではなくなります。
また、このイヤホンを着けたままノイズキャンセリングヘッドホンを外側に装着すれば、飛行機内でも圧倒的な静寂が手に入りますが、さすがにこれは機内放送も聞こえなくなるので、やめた方がよいと思います。

この遮音性が最大限に発揮されるのは、フォームタイプのイヤーピースを付けたときです。シリコンでも一般的に見て十分に高い遮音性がありますが、フォームほどではありません。

音漏れ防止性能も非常に高い。よほど大音量でなければ、電車等でも迷惑になることはないと思います。

総評

無難な音を出し、装着感と遮音性が抜群なイヤホンです。

音はあまり魅力があるとは言えませんが、変な音ではありませんし、音の出る耳栓と思えば及第点と言えるでしょう。値段の割に音が良いのかと言われると、少々答えに詰まるところはあります。

しかし、最大の魅力は遮音性だと思います。特にフォームタイプイヤーピースを付けている状態では、遮音性が高すぎて外では使いにくいとすら言えます。騒音に悩んでいるが音楽は聴きたいという状況があるのならば、非常にオススメできます。

本記事の内容は以上です。

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