オンキヨー A-911MLTDの修理およびレビューです。
オンキヨーのIntegraシリーズでないアンプですが、LTDとあるからには、限定の特別チューニングモデルなのでしょう。発売は90年代。ビンテージを名乗るには新しすぎますかね。
ハードオフのジャンクコーナーから2200円(税込)でサルベージ。電源を投入すると、入力切り替えが勝手に高速で入れ替わり、音が出ないという理由でジャンク扱いでした。
※本記事で言及されるスペック等の情報は、オーディオの足跡様の当該ページより引用しています。
これの後継機種と思われる、A-922MLTDの修理・レビューもあります。
修理
ジャンクのものをいきなり電源投入すると危ない可能性もあるので、とりあえず分解してみます。そしてついでに掃除します。ジャンクは汚いので。修理できなければキレイなゴミになりますが、汚いゴミよりはマシだと思います。
分解・清掃
購入当初の様子
購入当初の様子が次の2枚の写真です。
ジャンクにしてはキレイな方だと思います。ヤニでベタベタしたりもしていませんし。
しかし端子にホコリが。ハードオフのジャンク品は一切掃除などしていませんが、せめてホコリを払うくらいはして欲しいものです。
トップカバーを開ける
まずは天面のカバーを開けます。ここまでは誰でも思いつくのか、天面カバーを開けた形跡のない中古やジャンクはほとんどありません。反対にそれ以上分解した形跡のあるものも少ないのですが。
中は立体交差しています。90年代にありがちな設計です。
ホコリがさらっと積もっています。ハケで拭えば十分に落ちる程度です。
フロントASSYを外す前にツマミ類を取り外してみましたが、ボリュームツマミがすごいものでした。次の写真をご覧ください。
なんと、超極厚のアルミ削り出しツマミです。これだけでもずっしりとした重みがあります。
改めて、次はフロントASSYを取り外します。
フロントASSYを外す
最初にフロントASSYを外します。顔の部分です。
フロントASSYを留めていそうなネジや、ボリューム類に付いているナットを全部外せば簡単に外れます。…と言いたいところですが、思わぬ難敵が。トーンコントロール用のボリュームのナットが奥まっていて外せません。細いラジオペンチでも入らない狭さ。
どうしようもないので、ピンセットを使って回してみました。
ピンセットではろくに力が入らないので無理かとも思いましたが、いけました。軽~くしか締まっていなかったようです。
しかし、この狭くしている原因の顔の部分、真っ先に外せることが後に判明しています。まずこの顔を外してから、ナットを緩めるのが正攻法のようです。
改めて、フロントASSYを外します。この際、フロント裏の基板から伸びている2本のケーブルとヘッドホン出力用のケーブルを外す必要があります。ヘッドホン用ケーブルは、コネクタの頭を押すと電線が外れるタイプです。
次は、フロントのASSYを細かく分解します。
フロントASSYの分解
まずは裏の基板を外しました。ネジを外せば簡単に外れます。
基板を外すとボタン類のガワがポロポロと外れてきますが、まず間違って取り付けられる形状ではありませんので、特に注意する必要はありません。
入力切替の誤作動の原因と思われるロータリースイッチのようなものもここに付いています。
これを取り外し、分解した様子は後述。
その近くにはオンキヨーのロゴが付いているICが。カスタム品のマイコンか何かでしょう。
次はプラスチックのフレームからアルミの顔を剥がします。これは前述のようにフロントASSYを取り外す前に行うことも可能です。
このようなタイプは、下の部分で引っ掛けて、上の部分がツメで固定されているような構造が一般的で、このモデルにおいても同様です。
まず、上のツメに狙いを定めます。写真で青枠の部分です。
次に、このツメをマイナスドライバーなどで押し込みます。押し込みすぎると折れるので、適度にしましょう。
そして顔の部分を外します。実際にはツメが複数あるので、1つずつ地道に解除していくと外れます。
あとはプラスチックフレームにネジ留めされている鉄部品を外せば、フロントASSYの分解は完了です。
シーリングドア(下部を隠す扉)は任意のタイミングで外せばよいでしょう。邪魔なので最初に外すことが多そうですが。ヒンジも外す場合は、最後の最後に外せます。
全て分解しているので、奥まったところも隅々まで、好きなだけ掃除できます。
プラスチックフレームの裏にはこのような汚れが。
この汚れ、アンプのプラスチックの部分などでよく見るものなのですが、正体がわかりません。カサカサしており、水だけでも十分に落とせる汚れです。
正体はわかりませんが、とりあえず掃除しておきました。掃除は気持ちの問題なので、裏面だろうが見えない部分だろうが、好きなだけこだわっておけばよいのです。
フロントASSYは以上です。
次は本体側を分解します。
本体側の分解
これが本体側です。
まずは後側の裏向き基板(入力基板)を外します。
背面端子を留めているネジを外せば、あとは垂直の基板とコネクタで接続されているだけなので、引っ張れば取れます。
入力基板にはケーブルも接続されているので、それも外します。それにしても、90年代以降はコネクタなので分解が楽です。80年代くらいまではワイヤラッピングが主流でした。
入力基板を外しました。
次は垂直の基板(ボリューム基板)を外します。これはメイン基板にコネクタでささっているだけなので、引っ張れば取れます。
ボリューム基板を外しました。
この基板には、メインボリュームやモード切替スイッチ、トーンコントロール基板が付いています。モード切替スイッチは分解して補修しました。詳細は後述。
次は背面パネルを取り外します。
背面パネルを外すには、背面の全てのネジを外します。
背面パネルが外れました。
次は電源入力基板とトランスを取り外します。これも対応するネジを外すだけ。
背面パネルのケーブル固定部は取り外しにくく、電源ケーブルと電源入力基板、および電源入力基板とトランスははんだ付けしてありますので、一連のASSYとして外しておきます。トランスの出力とメイン基板はコネクタ接続ですので、ここは分離できます。
電源~背面ASSYを外しました。
ここでちょっとトランスを見てみましょう。
電源トランスには何やら「AEI」などと表記されています。「Anti-Electromagnetic Interference」の略のもよう。直訳で「反電磁干渉」でしょうか。要するに、磁束漏れが少ないので磁気的に干渉しづらいと言いたいのかもしれません。そんなに気にするならRコアとかトロイダルトランスにすれば良いというのは禁句ですかね。EIコアではマシなものだと言いたいだけかもしれませんが。
ともあれ。次はメイン基板をシャーシから取り外します。メイン基板にはサブフレームみたいなものが取り付けられていますが、それごと外します。
メイン基板裏側は次のようになっています。
サブフレームのようなものがヒートシンクにガッチリ固定されています。逆に、基板とサブフレームがプラスチックのリベット的なもので付いています。しっかり固定したいのかそうでないのか、よくわかりません。
ヒートシンクとサブフレームの間に布テープが挟まれており、ヒートシンクの「鳴り」が抑えられています。ヒートシンクは撫でると「シャリーー~ン」という感じの心地よい音がしますが、このように固定されていると、「チンッ」というそっけない音しか鳴りません。これは音にも結構な影響がありそう。
最後に、サブフレームを基板とヒートシンクから取り外します。この際、ヒートシンクと基板はトランジスタの足のみを介して繋がっているので、取り扱いに注意が必要です。
サブフレームを外したところ。はんだ割れなどの問題は見つかりませんでした。
各基板の部品を見ても、露骨に問題を抱えている部品は見当たらないので、そのままにしておきます。
これで分解完了です。各部品を念入りに掃除しました。
次は問題と思われる入力切替用ロータリースイッチを見ていきます。
入力切替スイッチの修理
入力切替用ロータリースイッチを基板から外したものが次の写真です。
クリック感を演出する機構は70年代くらいから変わっていません。それほどに古めかしいタイプです。そのままでは固くて回したくないほどですが、ツマミを付けると小気味よいトルク感になります。
最初から脂ぎっており、接点復活剤などを使ったことが予想されますが、それでも完全に接点不良です。
とりあえず分解しました。
接点が黒々しており、大変なことになっています。これではほとんど通電しないことが容易にわかります。
必殺の綿棒ピカールで酸化膜をやっつけます。
軽く磨いても、簡単には落ちません。陽極酸化かなにかで処理したのかと思うほどの、均質で厚い酸化膜です。
しかし、根気良くやっていれば必ず光が見えます。表面を少しずつ削り取っているわけですからね。
磨いた結果がこちら。
磨いた後は素晴らしい輝きになりました。
あとは接点グリスを塗り、元通りに組み立てました。接点間の抵抗は全てほぼ0Ωとなり、完全に復活しました。
次はモード切替スイッチを修理します。
モード切替スイッチの修理
これも上記入力切替スイッチとほぼ同様です。分解して接点を磨きました。
これがスイッチの外観です。これも軸を回転させて接点を切り替えるので、ロータリースイッチに違いはありません。
これもまた古めかしいスイッチです。だがそれが良い。
これを分解すると、次のようになりました。
相変わらずこのタイプは、接点が黒々とした感じで、摺動子は比較的マシです。なぜこのタイプのスイッチは摺動子が妙に酸化しづらいのか。
そして、同じく綿棒にピカールをつけて磨きました。綿棒を使えば、このように小さい接点でも隅々まで磨くことができます。
摺動子はサンポール漬けにして洗浄・酸化膜除去を行いました。
ピカピカになりました。
あとは接点グリスを塗り、元通りに組み立てました。接点間の抵抗は全てほぼ0Ωでした。
次は入出力端子を洗浄します。
入出力端子の洗浄
入出力端子を全部取り外し、洗浄します。
取り外したものがこちら。
メインの入力用RCAジャックは非常に足が多いものです。物理的な入力検出ができるか、もしくは無入力時に勝手に入力ショートされるようになっているものと思います。
他のジャックはごく普通のものです。
これを水で薄めたサンポール液に漬け、汚れや酸化膜を取り除きます。これらの部品の金属部は金メッキとニッケルメッキで、金は塩酸に溶けず、ニッケルは塩酸との反応が鈍いので、ほぼメッキにダメージを与えずに酸化膜などを除去できます。
塩酸との余計な反応を防止するため、良い具合になったら水でよく洗い流します。
その結果がこちら。ピカールなどを使ってイカサマはしていません。
金属磨きで磨いたかのようなキレイさに。
このような細かい部分の汚さが、得も言われぬヨレ感の原因になります。古い機器をキレイに掃除しても、イマイチ古い感じが拭えないのは大抵そのせいです。神は細部に宿るということですね。
はんだ修正
上記のように、はんだの不具合は特に見つかりませんでしたが、気に入らない部分などを修正しておきます。
最終段のトランジスタの足が斜めにはんだ付けされており不満なので、修正します。
それと、熱が入っている部分のはんだ付けをやり直しておきました。
以上で問題のある部分は修理できたと思いますので、動作確認してみます。
動作確認
元通りに組み立てて動作確認します。順番に組み立てなければいけないので、パズルのような楽しさがあります。
電源を投入。入力切替が誤作動したりせず、正常のように見えます。入力切替つまみを回すと、ごく正常に入力が切り替わりました。
スピーカー出力のDC漏れ等を確認し、とくに問題なさそうなので、スピーカーをつないで鳴らしてみると、正常に音が出ました。
あとはネット上で公開されているサービスマニュアルを参照し、アイドリング電流を調整した程度です。
これにて修理完了。
その他
リレーなど
次の写真は、電源入力基板からリレーを取り外した様子です。
リレーの取り付けパターンが2種類あります。最初から付いていたリレーのパターンは内側のものなので、一回り大きいリレーも使用できそうです。
リレーは高見澤。初めて見ました。アンプに使用されているリレーはDEC(第一電機)が多数派で、オムロンや松下が次いで多い感じです。
電源の他にスピーカー出力リレーなどもありますが、全て高見澤製で、封止タイプです。接点不良はないのでそのまま使いますが、接点を磨いて再利用できないのは不便です。
次の写真は、このアンプについている全てのリレーです。
左上・左下のものはスピーカー出力用です。スピーカー出力のON/OFFをリレーで制御しているので、2系統ぶんあります。
右下のものは電源用。基板と一緒に写っているものと同じです。
右上の青いものはヘッドホン出力用のようです。
修理後の中身
修理後は、次の写真のようにきれいになりました。各基板はハケでホコリを払った程度ですが、それだけで十分でした。
電源用の青いブロックコンデンサが映えます。このアンプの売りの1つに、「Integraシリーズで開発したブルーコンデンサを採用」というものがありますが、電解コンデンサはブロックコン以外も全て青い被覆のものが付いていますので、どれがその「ブルーコンデンサ」なのかは不明です。全部なのかもしれませんが。
電源ブロックコンはエルナー製で、オンキヨーのロゴ入りのカスタム品です。他は全てニチコン。次の写真では見えないのですが、スチロールコンデンサも使われています。こだわってますね。
こうして見ると、細かいホコリを除去しきれていません。まあ、ケースを閉めればほぼ見えないので、よしとします。
最終段のトランジスタはサンケン2SA1491/2SC3855です。
修理 総括
入力切替が誤作動するジャンク品を修理しました。原因は入力切替用のロータリースイッチの接点不良でした。ロータリースイッチやロータリーエンコーダの不良は、90年代以降のマイコン制御タイプ(?)ではよくある故障です。
その他細かい部分を徹底洗浄し、新品のような輝きを取り戻しました。上には書いていませんが、ネジすらも1本ずつ丁寧に拭き取ったりしています。
外観・仕上げ等
前面
前面 その1
ドアを閉めた状態では、非常にすっきりした見た目です。最低限の機能にしかアクセスできません。
各ツマミはアルミ削り出し。特にボリュームツマミは前述の通り超重厚で、回転フィールに影響があるほどです。ツマミが重いということが、ボリュームを回すだけで伝わってきます。
電源ボタンはプラスチックで、内部のタクトスイッチを押すためプチプチとした押し心地です。これは90年代によくあるタイプで、その次代特有の安っぽさの原因です。やはり電源くらいはオルタネート式の大きいスイッチをガチョリと押したいものでしょう。
電源ボタンの下にはリモコンの赤外線受光部がありますが、リモコンが付属しなかったので使えません。リモコン無しでも全く操作に問題はありませんが。
顔の部分とドアはアルミ、側面はプラスチックです。
前面 その2
ドアを開くと、このようになっています。
スピーカー切替スイッチと録音出力セレクターもプチプチタイプのボタンです。
トーンコントロールやバランスツマミはモロにプラスチックで、隠す気すら見受けられません。しかも突き出しが浅く、非常に操作しづらい。モード切替でトーンコントロールを無効にできるので、このあたりはあまり使わない前提なのかもしれません。しかし、トーンコントロールは3バンドもあります。使って欲しいのかそうでないのか、よくわかりません。
プリメインアンプにしては珍しく、ラウドネス機能がありません。
前面 その3
電源を投入すると、このように光ります。
基本的にLEDは黄色。光量は控えめです。そのため、暗くしないと光っている雰囲気の写真が撮れませんでした。
REC OUTを使用する場合は、バランスツマミ横のLEDが点灯します。色はSOURCEに設定している場合は緑、その他は赤です。
電源OFF時はスタンバイLEDが赤で点灯します。
背面
背面には入出力端子がところ狭しと並んでいます。このアンプはフルサイズよりふた周りくらい小さいので、背面端子でギチギチに見えます。
RCA端子は全て金メッキで、90年代らしくフォノ入力とCD入力が共存しているのが見どころですかね。抜かりなくテープ入出力も備えています。
プロセッサ入出力なるものがありますが、その時代にはDSPで空間表現を捏造するサラウンドが流行っていたようなので、その関係でしょう。
なぜかサブウーファー出力があります。
背面の端子類はキレイに洗浄したので、新品のような輝きです。
側面
側面はのっぺりとしていますが、片方につきネジ3本で強固に固定されています。上の1本はLTDで追加されたようなので、音のチューニングの一種かもしれません。
底面
底面はごく普通に鉄板です。
インシュレーターは白いものにゴム貼り。この白いものはデュポンのコーリアンらしいのですが…
コーリアン(アクリル樹脂系)というより、デルリン(ポリアセタール; POM)などに見えます。気のせいでしょうか。
その他
ボリューム側面には、現在の回転角を表示する数字が印字されています。
しかしながら、この数字が実際に役に立つかは疑問です。デザイン的な意味合いが強い気がします。数字よりも、正面の切り欠きを見た方が直感的にボリュームの位置がわかりやすいと思います。
前述のように、電源ON時は「VOLUME」の印字の下の出っ歯みたいな部分が光るので、数字が見やすくなります。
外観 総評
ドア付きで入力切替が回転式なので、シンプルでスッキリした外観です。
ドアを閉めればシンプルで、アルミ削り出しのツマミが映え重厚な感じに見えますが、ドアを開けると90年代らしい安っぽさがバレます。
ボリュームの12時の位置が光るデザインはあまり見かけません。そこまでツマミ側面の数字を照らしたかったのでしょうか。ダサいというほどではないと思います。
インシュレーターや側面の追加ネジなど、外観からもLTDで変更された要素をちらほらと確認できます。
音について
詳細
音は一言で言うなら豪華絢爛でしょうか。基本的に繊細な雰囲気ながら、どっしりとした低音もしっかり鳴らす懐の深さを持ち合わせています。
その反面、やや高域にクセのようなものが感じられないこともない。華やかすぎるというか、きれいすぎるというか、そんな感じがあります。なにせリミテッド・エディションですから、開発側の好みの音にチューニングしてみたのかもしれません。
中高域は硬質できれいな雰囲気です。解像度が高く、絢爛という感じ。特に中域は実にオンキヨーらしく、硬くクリアです。
低音はドライブ力が素晴らしい。こちらは豪華という感じ。密閉型スピーカーは低音が多く感じ、バスレフ型では少なく感じます。これはウーファーを十全に駆動できている証です。
音について 総評
小粒な筐体から出る、意外に豪華なサウンドが持ち味です。オンキヨーらしい硬質な雰囲気もしっかり持ち合わせており、満足感が高い。
大型のバスレフ型スピーカーは、しばらくはこのアンプでないと聴けなくなりそうです。
機能性・操作性
機能性
普通のプリメインアンプよりもやや多機能ですが、ラウドネス機能はありません。
モード切替
4種類のモード切替が可能。ボリュームの左のツマミで切り替えます。具体的には、(1)トーン、(2)ダイレクト、(3)プロセッサ、(4)CDストレート、の機能があります。
(1)トーンは、設定したトーンコントロールを使用し、入力切替で選択した入力を再生します。
(2)ダイレクトは、トーンコントロールを無効にし、 入力切替で選択した入力を再生します。
(3)プロセッサは、上記の通り、その時代に流行したDSPプロセッサ用の入出力を使用するモードでしょう。この機能は使ったことがないので予想になってしまいますが、そうでなければプロセッサ入出力用端子が存在する意味がありません。入力切替でプロセッサ入力は選べませんので。
(4)CDストレートは、CD入力端子からの入力のみを受け付けるモードです。おそらくは、内部的にあらゆる経路をパスし、限界までロスを減らすということになっているのでしょう。実際、ダイレクトモードよりこちらのCDストレートモードの方が、やや音がよいと感じています。
REC OUTセレクター
録音出力にパスする入力の種類を任意に選択可能です。テープのダビングももちろん可能。OFFにすることもできます。
操作性
操作性に問題はありません。リモコンを使用しないと不可能な操作などもない。プリメインアンプの操作が難しいということもないと思いますが。
メインの操作系には昔ながらの大型スイッチ類を使っているので、操作フィールも申し分ないと思います。
その他
ボリュームツマミの重さ
ボリュームツマミがあまりにも重いので、重さを量ってみました。
その重量、驚異の84gです。ツマミ単体で100gに近いほどというのは、かなりのものでしょう。
試しに、近くにあったAurex SB-220のツマミも量ってみました。これはエントリーモデルではありますが、70年代のものなので作りが重厚で、ボリュームツマミも割と肉厚なアルミ削り出しです。
重量はたったの19gです。このA-911MLTDのツマミがいかにしてズッシリしているかが、少しでも伝わるでしょうか。
本体の大きさ
このアンプは、フルサイズ(およそ44cm)よりふた周りくらい小さい大きさです。
横幅は27cm程度。これはフルサイズのだいたい2/3くらいですね。
奥行は30cm程度。やや短いかもしれません。奥行はアンプによって全く異なりますが、横幅と同じ44cmあるものはまれです。それよりも短めなものが多い。
総評
硬質かつ低音もしっかり鳴らせるアンプです。小粒な見た目からは考えられないほどのパワフルサウンド。
CDストレート機能などを筆頭に、内部の部品やシャーシ構造など、随所にこだわりが感じられます。
90年代にしては安っぽさは控えめ。重厚なボリュームツマミや昔ながらのスイッチを使った操作系のフィーリングは良い。それだけで評価できるほど、90年代のものは安っぽい印象があります。
本記事の内容は以上です。
COMMENTS コメント
リモコンがないのでメインアンプを動作できません。リモコンなしで動作する方法を教えてください。
コメントありがとうございます。管理人です。
リモコンがなくても本体のボタンやツマミで操作できると思うのですが、いかがでしょうか。
同機種を手に入れ、整備を考えている者です。本文中では端子をサンポール溶液でクリーニングしていますが、何倍希釈したものを用いればよいでしょうか。ご教授願います。
コメントありがとうございます。管理人です。
サンポール溶液の濃度については特に意識していませんでしたので、実際に計ってみました。
それによると、だいたい水300g程度にサンポールを10g程度入れているようです。ざっくり30倍、濃度は質量パーセントで約3%ということになります。薄く緑色が見える程度です。
なお、どのくらいの濃さが良いのかについては試したことがありません。濃すぎるのは表面がざらつく可能性も考えられますので避けた方が良いと思います。
あまり参考にならず申し訳ないのですが、こんな具合でした。
ありがとうございます!
端子が錆びまくりで気になっていたので助かりました!