イヤホンヘッドホン

Koss The Plugのレビュー:これは圧倒的な「迷機」。

Kossのイヤホン、The Plugのレビューです。

Kossの昔からあるイヤホン・ヘッドホンシリーズのひとつ。カナル型イヤホンの元になったとか、フォームタイプイヤーピースの元祖などという話も聞きます。改造が盛んなイヤホンです。

かんたんレビュー

長所
  • 圧倒的な
  • 意外にクセは少ない
短所
  • 壊滅的な帯域バランス
  • あまり良くないイヤーピース
  • 音漏れが多め
  • すぐにちぎれそうなケーブル

外観・仕上げ等

外観や仕上げについてのレビューです。

全体

全体

全体。半球のようなハウジングに円すい形のイヤーピースが付いています。あまり細かいことを考えてデザインされたとは思えない外観ですが…

銀色の部品にはデカデカとメーカーロゴが書かれています。イヤホンでここまで主張が激しいのは珍しい。

この奇妙なイヤーピースは、マニアから「ネチョスポ」と呼ばれています。フォームタイプなので、ネチョっと潰れてスポッと耳に入るからだと予想していますが、詳細は知りません。

仕上げ

材質はもちろんプラスチックです。それ以外に言うことは特にありません。

背面

背面

背面はこうなっています。穴が開いており、ドライバーらしきものが確認できます。

このイヤホンは左右で全く同じ形をしていますが、LRの表記が大きめなので問題になりづらいと思います。

イヤーピースを外すと…

イヤーピースを外した図

イヤーピースは細いチューブにミチミチとはまります。このチューブは柔らかいので、イヤーピース交換はあまり容易とは言えません。

外観 総評

半球に頂点が取れた円すいが付いている形状です。言われなければイヤホンとはわからない人もいるかもしれません。耳栓っぽいデザインではあるので、”The Plug”の名に恥じぬものではあります。

銀色の部品にメーカーロゴを大きく表示するのは良いと思います。全体的にもコントラストが高い色合いになり、締まりが出ますが、材質の関係上安っぽいことは否めません。

付属品など

付属品は次の2点。なお、本体直付けのケーブルを付属品に含めます。

  • ケーブル(本体直付け)
  • 大きいイヤーピース

ケーブル

ケーブル

本体に直付けのケーブルです。

非常に細く、少し乱暴に扱っただけでちぎれそうだとすら言えます。しかし、分岐部から破損する心配はないタイプのケーブルではあります。

材質はよくある感じのもので、ゴムっぽいタイプです。絡まりやすい。

コネクタはステレオミニ。Kossお得意の謎の角度のコネクタです。なぜ直角ではないのかかが謎。

大きいイヤーピース

大きいイヤーピース

大きい(というか長い)イヤーピースが付属します。あまり耳の形状に配慮する気のない本体とイヤーピースの形状ですが、大きさだけは別のようです。

音について

音についてのレビューです。

概要

音は端的に言って、低音に全てを支配されている。これは冗談でも誇張でもなく、フラット寄りのイヤホンやヘッドホンを使ったことがある人は皆同じような感想になると思います。

より細かく言えば、かなり極端なピラミッドバランスです。低音が多すぎ、高音が少なすぎる。中域は低音に負けつつも聞こえないほどではない、という感じ。

次の図は、このイヤホンの音のイメージです。低音は画像の外に突き出しています。この図の詳細はこちら

Koss The Plug 音の傾向

周波数的な特徴

低音域

全てを支配する悪の帝王です。

低域は強すぎ、しかも締まっていません。ある意味、驚きの低音です。

もはや、この低音について語るのは野暮というものでしょう。気になるなら買って使ってみてください。「あまりにも低音寄りすぎるイヤホンである」という事実だけは保証できます。

中高音域

中高域は低音に埋もれているので、質を語れるものではありません。

しかしながら、100円のイヤホンのような「クソみたいな音」では決してありません。100円イヤホンはピークやディップがひどく、まともなものではありませんが、このThe Plugはそのようなひどさはなく、クセはあまりないと言えます。そのため、イコライザで補正するのは容易です。ピラミッドバランスの逆のようにすればよいだけ。3バンドのイコライザですら、比較的まともな音にできます(たぶん)。

音場感・定位感

音場は狭い。イヤホンでも類稀なほどに狭いかもしれません。

定位もモヤッとしています。

音場や定位すらも低音に食われている雰囲気があります。

音量・鳴らしやすさ

音量

音量はよくわかりません。低音を基準に音量を合わせるのか、それとも中域を基準にするのかによって必要な音量が大きく異なります。

しかし、ごく小音量でも低音がブンブンと鳴るため、低能率とは言えない感じもあります。

鳴らしやすさ

これもよくわかりません。とにかく低音が押し寄せてくるので、アンプなどによって質が違うのかが非常に判断しづらい。

音について 総評

低音。以上。

イヤーピースを外して使う方がまともな音だとすら言えます。

この「音について」に書かれているほぼ全ての文に、低音や低域という言葉が含まれています。つまりは、そういうことです。

装着感

装着感は悪くないがそこまで良くもない。

イヤーピース

イヤーピースは見ての通り、頂点を落とした円すい形状で、耳の穴へのフィット感はまあまあイマイチという感じ。低反発フォームですが、先細り形状のため耳穴に充填されるような感覚に乏しく、あまりフォームである必要が感じられません。

保持力に乏しく、耳から抜けやすい。勝手に抜けるほどではありませんが、どうもしっくりこない感じです。

本体形状

本体は適度な大きさで、耳にまあまあフィットします。しかしながら、現代のイヤホンのような装着感を求めてはいけません。

装着感 総評

耳が痛くなったりはしないため、最低限の装着感はありますが、そこまで快適に使用できるとは言えない感じ。なんというか、なんとも言えない。このイヤホンは全体的にそういう傾向があります。古いものなうえ独特なので、どう評価していいか悩みます。

携帯性

携帯性は良くもないでしょう。

持ち運びしやすさ

イヤホンなので小さく、可搬性は悪くないと思います。ただし、ポーチ等は付属せず、ケーブルの細さも気になるので、あまり積極的に持ち運びたいとは思えません。

外部遮音・音漏れ防止

外部遮音正や音漏れ防止性能は低い。原因は背面の穴でしょう。

ただし、低音が強いので音量を上げずとも迫力のある音になります。それで満足できるならば、音漏れはしにくいイヤホンと言えるかもしれません。

総評

極めて低音寄りのイヤホンです。それ以上に言うべきことはあまりありません。

素の状態でこんなイヤホンが存在していいのか、とすら言える、ある意味希少なイヤホンです。買ってから初めて音を出したとき、あまりの低音ゆえ第一声は笑いになることでしょう。娯楽に飢えているなら買う価値がある可能性もあります。

低音寄りでバランスが壊滅していると言いながら、筆者は不思議とこのイヤホンを買ったことを後悔はしていないし、手放すつもりもありません。使うことがほとんどないものですが、なぜか持っておきたいもののひとつです。それは低音に全てを懸ける潔さに起因している可能性もあります。尖った魅力のあるオーディオ機器は名機になりやすいものですが、尖った部分が特に魅力的でないものは「迷機」です。そのバカさと潔さを愛さずにはいられないのかもしれません。

本記事の内容は以上です。

COMMENTS コメント

  1. Yasu より:

    よかったらKOSSのポータプロというヘッドホンをレビューしてもらえないでしょうか!すごく気になっていてレビューの仕方が好きなのでしてみて欲しいです。図々しくてすみません。

    • モソス より:

      コメントありがとうございます。管理人です。
      本サイトの方針を気に入っていただけたようで、幸いです。
      実はPortaProは何年も前から持っています。レビュー記事を書く準備(つまり写真撮影)もしていたのですが、こちらの事情で、記事を更新する余裕がなくなってしまいました。
      ぼちぼち復活していきたいとは思っているので、そのうちPortaProのレビュー記事は上げる予定です。